第20話「医大の夜」

夜寝ていると隣のベッドが慌ただしい。
隣のMさんは鼻から管を入れているのだが、先生はその鼻管を更に奥まで飲ませているらしい。
看護婦さんもベッドの横にある鼻管のポンプをゴソゴソいじくっているらしい。
人の事は言えないがデカイ看護婦さんだったのでベットとベットの狭い間で悪戦苦闘しているとドカンドカン ベットに体当りしてくるので目が覚めてしまった。
  
「はいMさんゴックンして」「うおぁあおえぇー」「はいゴックン」「うおぁあえぇ」
なんかエライことになってるらしい、はっきり言ってオチオチ寝てられない。
そのうちMさんは「先生もうワシ駄目ですわ、きっとオペ失敗やったんですわ…」などと泣きながら言い出した。
「なに言うてんねんMさん、大丈夫やがな心配せんでもええで」と主治医が励ましてる。
しまいには「せんせい筋肉弛緩剤打ってください」とか言っている。
ん?はて筋肉弛緩剤って聞いた事あるな何やったっけ?そうそう安楽死の薬やったよな…
ってアカンやん!ますます眠れなくなってしまった。
  
しばらくして落ち着いたらしく主治医と看護婦さんはいなくなってしまった。
するとMさんがゴソゴソ何かをしはじめ部屋を出て行ったようだった。
「ん?トイレかな?」と思いさほど気に止めなかった。
ほどなくして看護婦さんがMさんの所にやって来たのだが「あれ?Mさんがいない・・・
えぇ!もしかして・・そんな・・・どうしよう!!」半ベソで飛び出して行った。
その時になってようやく鈍感な僕にも事態の重大さが解ってきた。
えぇ?ひょっとして思い詰めた挙句はやまったのか?9階だから飛び降り!?オイオイオイ
  
10分くらいヤキモキしていると何もなかったようにMさんは戻ってきた。
その後捜索中の看護婦さんが現れた。
「Mさんドコ行ってたのよ、もうっ心配したやんか」
「あーちょっと便所行っとったんや、なかなか出えへんかったんや」
・・・さすが大学病院1日目からなんかスゴイぜ!