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その次に目が覚めると夜になっていて阪神高速の夜景が見えた。
9階の回復室(オペ直後など目の離せない人が入る部屋)に移されていた。
まず最初に頭に浮かんだ事は「大腸がないぞう」というどーしようもないギャグだった。
大体、内臓ならともかく大腸では駄ジャレにすらなっていないぢゃないか・・・。
ふと手を見ると人さし指に「脈拍を計る赤く点滅するセンサー」が付いていた。
「・・・ET」・・・うーむ、きっと麻酔が効き過ぎてどうにかなってたんだろうな。
ほどなく主治医のS先生がやってきた。
「オペは無事終わりましたよ、切った大腸の写真を撮っといたけど見る?」
なんか少し嬉しそうに勧められたけど、焼き肉屋行けなくなったらイヤなので丁重にお断りした。
S先生はちょっと寂しそうであった。
意識がはっきりしてくる、良く見ると両手首に紐状のアザが…オペ中って俺縛られてたん!?
聞いてみたかったが、なんかものすごい事をされてそうで聞かない方が身の為かな?と思いとどまった。
体は非常に重くてダルくてしんどい。
痛み止めが良く効いているのだろう、ガマンできない程の痛さは感じない。
さすがに咳やクシャミをするとお腹に激痛が走るが、おとなしく寝ている分には大丈夫だ。
しかしオペ直後はおとなしくずっと寝ているワケにはいかない。
時々体位を変えて、腸が変に癒着したり、こんがらがったりしないように、ゴロゴロ動かないといけないのだ。
体の右を上にしていた態勢から左を上の態勢にする。
腸がお腹の中をずれて行くような気がして苦しいというか痛いというか気持ちわりぃ。
あと喉に溜まるタンをうまく出さないといけない。
痛くないようにお腹を押さえてから、小さく咳を続けてタンを上げてくる。
そして最後に大きく咳をするとタンが取れるのだ。
もちろん咳をすると痛い、でもタンが溜まると窒息しそうになってしまう。
最悪、咳込んで息苦しさと傷の痛みの十字砲火に晒されることも。
ちなみにタバコを多く吸う人ほどタンが沢山出て非常に苦しい思いをする事になる。
隣のおっちゃんなんか「どうや苦しいやろ?タバコやめへんからやで、コレに懲りたらタバコなんか辞めるんやで」と看護婦さんに怒られていた。
・・・俺タバコ吸ってなくて良かった。
(一応その看護婦さんの名誉の為に言っておくが、口は悪いが優しく介護してました)
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