第29話「鼻くだ」

オペの翌日には回復室から一般病室へと戻る事になった。
まだ、いろんな管を付けられていて結構うっとおしい。
この時点で付いていたのは
[酸素マスク] 
よくTVで見るヤツだ。(寝たきりだったので心肺機能が落ちていた)
[鼻くだ]   
鼻からチューブを胃まで入れて胃液を吸い上げる(胃液で腸が詰まる)
[尿くだ]   
尿道にゴムのチューブを突っ込まれている、トイレに行かなくて良い。
[背中の麻酔] 
脊椎に麻酔薬を入れる。効くと痛くない、効きすぎると飛んじゃう。
あとIVH(24時間の高カロリー点滴)が腕に刺さっている。
  
この中で一番嫌な管は「鼻くだ」だ。
結構太い管なので鼻の奥や喉に当たって痛い時がある、もちろん鼻クソをほじる事などはできない。
鼻くだは四六時中胃液を吸い上げ続けるためにポンプに繋がっている。
とても持ち運びできない装置なので、ベットから離れる時は一々管をジョイント部分から外して管を器具で挟んで止めなくてはいけない、かなりメンドウだ。
とにかく早く抜いて欲しい管なのだ。
  
しかし鼻くだは焦って抜くと後が怖い。
腸の動きが元に戻っていなければ、たちまち胃液が詰まって腸閉塞を起こして苦しむ事になるのだ。
だんだんお腹が張ってきて気分が悪くなり胃液を戻しまくる、かなりツライ。
その挙句、再び鼻くだを飲まされるハメになってしまう。
最初に鼻くだを入れられるのはオペ中で意識も無いのでなんとも無いが、2回目は意識のある状態で飲まされるので最悪だ。
「はい、ゴックンしてー」「お゛えぇぇー」「はい、ゴックン」「お゛えぇぇー」
文字どうり阿鼻叫喚が繰り広げられる。

ちなみに「鼻くだ」が付いているということは「絶飲食」を意味する。
胃液が溜まって詰まるくらいなんだから、水なんか飲んでいいワケがない。
一応「うがい」はしてもいいのだが、飲み込んだらダメなのだ。
  
しかし、悪い患者になると「少しくらいならポンプでどっちみち吸い上げるんだから大丈夫や」なんて水を飲んだりもする(イキナリの水に驚いて腸閉塞する可能性あり)
  
サブの担当医が患者の様子を見に来てみると、患者の鼻管を通常には存りえない紫色の液体が流れている。
驚く担当医、「ええっ!?なんでこんな色してんねん!エライこっちゃ!!」
鼻管の患者、「先生ごめん、さっき勝手にぶどうジュース飲みました」
ホントにあった話らしい、うーんやるな!!