第30話「大地に立つ」

オペ後1〜2日目には「尿くだ」が抜ける。
「はいはい、ごめんなさいよー」看護婦さんにムンズと掴まれヌポッと抜かれる。
「はぅっ」ちょっち痛い。
ちなみに、はっきし言って全く嬉しくも気持ち良くも無い、残念な事だ(オイオイ)。
  
尿管が抜けるという事はつまり「はいはい!トイレは自分で歩いて行く!!」って事だ。
外科ではオペ後2-3日くらいから、歩くように言われる。
早く立って歩いた方が、早く体が回復するからだ。
運動する事で酸素を多く吸収・循環させたり内臓へ刺激を与えて機能を活発にさせたりするらしい。
だからベットでゴロゴロしていると看護婦さんにサボっているかの様に言われる。
どーしても好きになれない唯一の看護婦Nさんの一言にカチンと来たので歩いてトイレに行く事を決心、「おうおう、歩いてやろうじゃんか」って感じ(口には出さんが)。

麻酔が効いているので寝ている分には痛くないが立ち上がろうとすると流石に痛い!
腹筋はお腹を切られているので使うと痛い、体を横向きにして側筋で体を起す。
ベットの手すりに掴まりながらもう一方の手でベットを押すように体を持ち上げる。
そのままズリズリとベットの端から地面へ足を下ろし、手すりに掴まって立ち上がる。
「ぬぅぅぅぅ」なんだか内臓が下の方にずり落ちていきそうな感じだ、お腹がニブく痛いので下っ腹を手で押さえる。
立っただけなのに息があがってクラクラ、足の筋肉も落ちていてフラフラだ。
立ったのは良いがそれから第1歩がなかなか出ない。
とりあえず点滴棒(点滴をぶらさげるキャスター付の台)に掴まりながら必死の形相で歩き始める。
ちなみにこの時、僕的には「なに!コイツ動けるのか?」とかガンダムの第1話をBGM付で連想していた。
  
そのまま第一目標の「トイレまで行く」を実行するため廊下に出る。
しかし10メートル程行った所で「う、たとえ行けたとしても帰ってくる自信が無い」
という事に気付き予定変更、後ろに向かって進軍する事に。
「だって大型トラックが横転事故起したら、巻き込まれる一般車両が災難やろ?」
その後30分程してから再チャレンジ。
1回目よりは簡単に立ち上がる事ができ、痛さも若干マシになった気がする。
今度は気分を変えてエヴァンゲリオンを想像しながら「初号機リフトオフ」「歩け歩け歩け歩け…」などとやはりBGM付でフラフラとトイレに向かう。
どんな状況でも、なんだかんだ言って楽しんでしまう自分がコワイ…
  
片道10分くらいかけてヘロヘロになって帰ってくると違う看護婦さんが「あ、もう歩いてるぅ!スゴーイ!!」だって…いや、だって、歩けって言ったから歩いたのに!!!。