第31話「麻酔」

オペ後は背中から脊椎に直接ワイヤー状の極細のチューブで麻酔薬が入っている。
バルーンの圧力で自動的に少しづつ入る様になっている。
この麻酔はとても良く効き、効きやすい人ならオペ翌日とかでもピンピンしている。
ちなみに効きにくい体質の人は最悪で2、3日グッタリしてしまう。
5分置きにナースコールを押す人もいたりするのだ(単なる根性ナシという話もあるが)
「酒飲みは麻酔が効きにくい」などとホントかどうか解らないが言われていたりもする。

その日の朝は全くなんとも無く、昼前になってイキナリ体の調子が悪くなった。
腹の底から気持ち悪くなり、体全体が動けない程ダルく、油汗が出てくる。
「はぁはぁ、なんやっ急におかしくなったで!?」ワケが解らず取り敢えずナースコールで看護婦さんを呼ぶ。
「あらっ背中の麻酔が切れてるわー」よく見ると確かにバルーンがしぼんで薬も無くなっている。
ヘロヘロになりながら「くすりいれてーくすりー」、ほとんどヤバイ人状態である。
しかし看護婦さんの話によれば担当の先生にしか麻酔薬は入れられないらしい、早速サブの主治医の先生を探してもらう。
「電池切れかけリモコン戦車」「ポンプ壊れかけのカエルのおもちゃ」等を想像しながらしばしベットで先生を待つ。

「うーん、麻酔切っても大丈夫かと思っていたけど、ちょっと早かったかなぁ」
先生に麻酔薬のおかわりを入れてもらう。
すると程なく元どおり元気になってくる、さっきのしんどさが信じられないくらいだ。
いやぁー、クセになりそう。

余談ではあるが麻酔が効きすぎて飛んでしまう事がたまにあるらしい。
体験談によれば「看護婦さんが部屋中にコウモリをつるしてまわった」<K君>
「ベットに沢山の虫がわいて出てきた」<N田さん>などかなりダウン系になるらしい。
確かモルヒネ使ってるからとかなんとか…。
いやぁ一度話のネタに体験してみたいような気もする、小さい大名行列とか見えたりして。