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病院での娯楽というのはだいたい相場が決まっている。
野球・相撲・将棋・競馬、はっきり言っておっさんの娯楽だ。
まぁ兵庫医大の場合、外から入ってくるメディアは、阪神の記事しか載っていないスポーツ新聞とNHKとサンテレビ(超ローカル局、主に競馬・阪神戦・時代劇)しか映らないテレビ(しかも病室には無い)ぐらいなので自然と話題はそっちへ行ってしまう。
僕は普段競馬など全くやらないのだが、何しろ暇で暇でしょうがないので、有馬記念の予想でもしてみる事にした(96年の話)。
まったく競馬新聞の読み方が解らんので競馬好きの先輩に電話でイロイロ教えてもらう。
馬券も彼女が買ってきてきてくれる事になった。
1番人気のサクラローレルとちょっと外してファビラスマフィン、マーベラスサンデー、などというお馬ちゃんを買ってみる事にした。
「絶対勝つレースに大金突っ込む事が競馬で勝つ方法や」
「それで負けたら勝つまで金額を倍倍にしていくんや、最後には絶対勝つで!」
と会社のヨコヤマさんが赤エンピツを耳に挟んで仕事サボりながら血走った目で力説していたのを思いだす。
彼は「500万取った」だの「1500万逃した」だのカナリの競馬人なのであながち間違った事は言ってないのだろうが、そこまで行くとちょっとなぁー。
なにはともあれ有馬記念当日、ベットに寝転がってラジオのイヤホンを装着、競馬新聞を見ながらレース開始を待つ。
なんか向こうはすごい人出でエライ事になってるようだが、こっちは年末で閑散としている同室のSさんが歩行訓練をさせられているがタレパンダのようにゆっくり動いている、かなり対照的だ。
ファンファーレが鳴り響きレースが始まる、金をかけている上に音しか聞こえないラジオなのでカナリ盛り上がる、ちょっと「こち亀」の両さんの気持ちが解る気がする。
アナウンサーが「ローレル」だの「マヤノトップガン」だの「ヒシアマゾン」だの馬の名前を一杯白熱して叫んでくれるんだがハッキシ言ってナニがどうなっているか良く解らない。
すげぇドキドキする、自然と手がグーになってしまう。
最後の直線でアナウンサーがサクラローレル、横山(騎手)の名前を絶叫しているが場内の歓声と混ざって、もうわけが解らない。
「だから、どーやねん!!」エキサイトしてツッコンでしまった。
1着サクラローレル2着マーベラスサンデー「おっしゃあ!やったぁー!!3万円!!!」思わずガッツポーズをするが、ふと気が付くとSさんと看護婦のMさんが呆然とこっちを見ていた・・・。
どうも独り言を言っていると思われたらしい、ヤバイヤバイ。
いやぁ病院のベットで競馬ってのもなかなかオツだね。
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