第49話「いざ!むこがわ」

1997/3/26 今回の入院は前回と違い一人電車に乗ってやってきた。
阪神電車武庫川駅(むこがわ)で電車を降りる。
「川の上に橋のように立っている駅」として全国的にも珍しい駅だ。
ホームの下には隙間から武庫川の流れが見える、小銭や切符を落とせば拾う事はできない。

なお、兵庫医大は川の西側に立っている。
大きな看板が出てるのだが、信じられない事にウチダは東側に降りて街をさまよった。

「兵庫医大ってどこですかねー?」
「ああ、それやったら向こう側やで」
「あー、はいはい、武庫川なんですよねー、あはは」
「いや、だから向こう側なんだって」
「そうなんですよね、ここ武庫川なんですよねー、あははは」
「いや、チョット待て兄ちゃん全然解ってない!向こう側なんやでー、おーい!」
「あはは武庫川、あはは武庫川、アハアハアハハハハハ・・・」
すいませんチョット作ってしまいました、彼は確かにあほですが、ここまでじゃないです。

入院受け付けで事務手続きを終え9階へと階段で上りナースステーションに顔を出す。
知った顔ばかりで安心、その後ベッドへと案内してもらう、今回も925室6人部屋だ。
一番北東のベッドでロッカーがすぐ横にある、その分ちょっと場所は広い。
  
早々に病衣に着替え荷物を整理、同室の人に挨拶する。
前回入院したとき食道癌で入院していたモリモトさんもまだ925室にいた。
僕が退院している間にオペをしたらしい、彼は結構筋肉の付いたイイ体だったのに今やゲッソリと痩せ細ってしまっていた。
「おーヤナイ君かー、またこの部屋になったんやなー」
「具合の方はどうです?」
「あーやっぱりシンドイなー、まだまだやなー」
抗がん剤がやはりツライそうだ、しかもまだまだ治療は続くらしい。

ほどなく主治医のS先生がやってきた、 「ん、別に問題はないですね」。
一通り治療予定やサブで付くインターンのK先生を紹介してもらう。
前回担当のサブの先生は内科に戻ったそうだ。
あれだけ嫌だった入院だったが、いざ入院してみると落ち着いちゃってる僕が居た。
やっぱナースコールが手の届く所に有ると安心するなー、ある意味ビョウキだ。