第55話「IVH」

オペ前になると術中術後のために点滴のチューブを腕に入れられる。
IVHというのだが胸の近くまで血管のなかにチューブを入れていかなくてはならない。
通常は腕の関節あたりから太い針を刺して入れるのだが麻酔無しなので結構痛い。
上手い先生で血管の太い患者であれば1回で入るのだが、そうでない場合はやり直しで何度も痛い目に逢う。
右腕で失敗、左腕で失敗、クビでようやく成功、なんてことになる。

見た感じちゃんと入っているようでも中で血管を突き破っていたり、胸の方に管が行かずに違う血管の方に行ってたりする場合も有る。

「じゃ、ちょっと液流してみますねー」
「はい」
「クビとか胸の方がヒンヤリしますか?」
「あ。・・・先生なんか・・・頭の方がヒンヤリします」
「え。・・・違う方に入っちゃったかな」

レントゲンで映すとチューブは頭の血管の方に行っていた。
モリモトさんが言っていたがマジ?

点滴を繋がれてしまうと、いよいよ年貢の納め時だ。
点滴台をゴロゴロ押しているとが嫌が上でも病人気分が盛り上がってくる。
やっぱり病衣には点滴台がとても似合う、必須アイテムだ。
なぜかちょっと嬉しくて点滴台をキックボードみたいにして廊下をすべる。
「こらー!ヤナイ君が乗ったら重みで壊れる!」
看護婦のKさんに怒られてしまった。