第56話「王様」

隣のベットのSさんは岐阜県からオペの為にはるばるやって来た。
彼は体育会系ラガーマンなのだが就職後UCになったそうだ。
Sさんは人生の節目節目で結構再燃している。
結婚式も再燃中でヨメさんが一人で準備して当日は病院から会場に行ったそうだし、子供の出産も入院していて立ち会えなかったそうだ。
子供なんか入院のし過ぎでお父さんの顔が解らず、恐がって泣くらしい。
「いや単に見た目がコワイからじゃないんですか?」と言いそうになったが飲み込んだ。
それにしても、なんだかなーって感じだ。

ちなみに彼は前の病院では「王様」だったらしい。
「王様」ってのは兵庫医大の患者間では「難病を盾に我がまま放題な患者」を意味する。
注射の下手な看護婦に怒鳴って物を投げたり、食事がマズイと引っくり返したり、それはそれは大暴れしたそうだ。
まぁ、普通の病院なら滅多にいない難病患者なので多少の我がままでも通っちゃうし、家族も甘やかすもんね。
ストレスは大腸に良くないってお墨付きあるし。

実際「入院するからノートパソコン買って」「大部屋じゃなくて個室がいい」とか親におねだりするバカ息子(娘)だって結構いる。
こうなってくると大腸の炎症や薬の副作用よりも「性格の歪み」の方が問題なんじゃないのかと思えてくる。
体が治って社会復帰できても、精神的に社会生活できない人間になってしまう。
ココだけの話、長年UCを患って10代後半を病院で多く過ごした人で「変な人」は割と多い。
大腸切ってもう病気関係ないはずなのに、就職できない結婚できない家から出れないなんて人がいる。(はうっくるしい!)
35歳過ぎて未だに子供みたいな家の中だけで家族が家来の「王様」なんてカナリ痛い。