第66話「歩こう♪」

歩こう歩こう私は元気〜♪

オペの後「歩く」というのは体力の回復の上で非常に重要。
歩く事により心肺機能の回復や腸を刺激して動きをよくするのだ。
オペ後だるくてゴロゴロしてばかりいると看護婦に『歩かないとイレウスになるで』などと脅されるのも有り、9西ではみんな結構まじめに歩行運動をしている。
点滴台をカラカラ転がしながらグルグルグルグル9西と9東病棟を回る、一周3-400メートルは有るだろうか。

カラカラ歩いていると後ろからイシカワ君がアウトコースから追い抜いていった。
『むぅ!勝負するつもりか?お前には負けん!』
オペ済み患者が多くなってくるとレースの様相を呈してくる程だ。
『同じ方向にばかり回ってると腸が片方に寄って来るから時々反対に回らなアカンで』
『うそっ!俺同じ方にしか回ってない!』
『うそぴょーーん!』
ホラを吹きながら追い越す。

僕は食後30分は音楽を聞きながらひたすら歩くことにしていた。
全部終わって元気になったら”天使は瞳を閉じて”(芝居)をやろうと決めていたので、芝居で使えそうなCDを選曲しながらカラカラ歩く。
終いには普通に歩くのでは物足らず垂直方向にグルグル回り出す。
9西の階段で1階まで降り、9東の階段で13回に上がり、再び西の階段で降りてくる、もちろん点滴台を担いで。
ハアハア言いながら階段を登りきると、よその科の女医に出くわした。
『あなた大丈夫?!苦しそうよ!』
『あぁ。・・・大丈夫・・・です。ハァハァ』
まさか点滴かついで1階から13階まで上がってきたと言ったら怒られそうな気がしたので適当にごまかす。
『やっぱ体力おちてるわ、階段結構つらいよ』
当時はそう思っていたのだが、冷静に考えれば普通の人でも13階まで階段で上がったら苦しいって。
俺ってあほや。