第73話「外出許可」

術後も2週間目くらいになるとかなり元気になってくる。
食事が三分粥→五分→全粥と上がってくるに従い体力も元に戻ってくるので、暇と体力と各種欲求を持て余してくる。
病院を脱走してコンビニに行っても良いのだが、所詮コンビニで入手できるものはしれている。
ここはひとつ、ちゃんと外出許可を取って街へ買い物だ!
外出願を書いてナースステーションに提出する。
「外行って変な物食べちゃダメよ、腸閉塞起こしても知らないからね!」
あう、バレバレだ。

武庫川は大阪梅田と神戸三宮の丁度中間なので、どっちに買い物に行くか悩むところだ。
大阪は人が多いので取り合えず三宮に行くことにして阪神電車に乗る。

駅まで歩いた後、電車の中で座らず立っていただけで何かしんどくなってくる。
堪らず座席に座ったが、まだ外出する程の体力は無かったのか…早くもちょっと後悔。
いやしかし、ここで引き返すわけにはイカンのだ。
本屋とマクドナルドと中古ゲームボーイソフトと、えーと、えーと…手ぶらでは帰れん!

やはり病院の中とシャバでは勝手が全然違う。
人ごみを人を避けて歩くだけでかなり体力を消耗するためらしい。
へろへろになりつつ買い物を続ける。
「ヤバイ、ここにはナースコールがない!」そんなものが街中にあろうハズもないのだが、身近にナースコールが無い事に気付いて不安になる自分の病人根性が改めて身に染みる。
しかし「外出中に気分が悪くなって救急車で帰ってきた」などという不名誉な伝説を9階西病棟に残すわけにはいかないので、休憩を挟みながらペース配分しつつ買い物続行。

結局、外出届に書いた予定時刻を30分ほど回ってから病院に戻ってきた。
副主任さんに「予定時間に帰って来ないとだめよ。変な物買ったり食べたりしてたんでしょ」とニヤリと言われる。
図星だ(゚д゚;

疲れてヘロヘロになりつつ病室に戻ると晩御飯が置いてあった。
あぁ、しまった、マクドで食ったからもうお腹いっぱいだよ。
良く見るとお盆の横にメモが挟んである。
「お見舞いに来ましたが、居なかったので帰ります。また来ます、お大事に。」
(゚д゚;
親戚の従兄弟が見舞いに来ていたのだった。
あぁ、検査が無いからって日曜に外出したのは失敗だった。
人が多くて疲れるわ、居ない間に見舞い客来てるわ…。
次からは平日に外出しよう。

早速戦利品を物色しているとイシカワ君がやってきた。
「ヤナイさんがおらん時に誰か来てたよ」
「うん、知ってる。はい、お土産。本買ってきた。」紙袋を渡す。
「自分のベット戻ってから開けやー、でないと看護婦さんに見つかっても知らんで」
「・・・また危険なブツを買ってきたん?」
「ほんまは看護婦本を買ってきたかったんやけど、無かった」
「もう、カンベンしてよー」
入院の差入れはマクドかエロ本に限ります^^