フランジ交換のススメ

ストマの生活はとても悩ましい。
便漏れや皮膚のかぶれ、そしてその他の憂鬱なトラブル…。
少しでも快適な生活を送るためにもフランジ交換のテクニック向上は重要課題。

というワケで非常に自己流なフランジ交換ではありますが、僕のフランジ交換方法を紹介してみます。(ただし小腸ストマです)

人工肛門の造設を予定している人も参考になるのではないかと思います。

※フランジとはストマ(人工肛門)につけるパウチ(便が溜まる袋)を貼り付ける土台です。

UCの大腸全摘手術後は大体こんな感じ。
赤いのはストマです。色形はまぁこんな感じです。

術式によっては粘液瘻や各種チューブが付きます。
交換のための道具
まず交換する前に便利な道具を用意しましょう。
●曲線バサミ
曲がっているのでフランジに丸穴を開けるのに便利です。穴明きのフランジ使用の場合は使いません。
●型紙
フランジに穴をあける場合にストマの形を型紙に取っておくと便利です。
→型紙の作り方
●パテ
フランジと肌の間に隙間ができるような場合に使います。
その他
●ネオガーゼ
ガーゼです。便を拭いたり、お湯で濡らしてフランジをはがす時に使ったり、何かと重宝します。あまり売ってないので普通のガーゼを切って使う方が早いかも。
●パウダー
肌があれたりして湿潤な時などに振り掛けて使います。必ず必要という訳ではありません。
●型を書くペン
●ビニール袋
●ぬるま湯
●ティッシュ
交換前の準備
1.交換の時間帯を選ぶ。
フランジ交換時に最も困るケースは『便がどんどん出てきて新しいフランジを付けれない』という状況です。
小腸は勝手に動いているので自分の意思ではどうにもならないので『腸の動きが鈍い時間帯』を狙って交換しましょう。
(パウチの溜まり方を一日を通して観察すれば良いでしょう)
すくなくとも食事後しばらくは避けましょう。
僕の場合は朝起きてすぐ、水など何か口にする前にやってました。
何か飲むと腸が反射作用で動き出すので、喉が渇いていてもお腹空いてても、何も口にしません。
あと、夜中に漏れる場合が多かったのでそうなったのもあります。


2.はずすのは全部準備が済んでから。

フランジ交換は手早く済ませる必要があります。
勝手に動き続ける小腸からいつ便が出てくるか解らないし、出てきた場合に便がノリ面に付着したりするとフランジが使えなくなってしまいますから。
ですからフランジを外してから型を切ったり道具に手間取ったりしないように『あとは貼るだけ』という状況に準備しておきます。
道具を全て手の届く範囲に並べて置く。フランジをストマの形に穴を開けておく。
準備を完璧にしておけば1分で交換することもできます。


3.はずすのはお風呂がいい。
フランジのノリをはがすのにはぬるま湯が良いです、シャワーで流しながら少しずつフランジを外しましょう。
少々便が出てきても流しちゃえばいいし、フランジが付いてる時は入浴もしにくいので、風呂ついでにやっちゃいましょう。
交換までの期間が短くてノリのくっ付きがいい時は無理にはがさずに、お湯で溶かしながら時間をかけて体や頭を洗いつつゆっくりはがすといいでしょう。
ビニール袋を一枚持って入り、はずしたフランジを入れるのに使いましょう。


4.ゆったりと交換しましょう
ソファや椅子にゆったりと座って交換しましょう。
風呂場で体を拭く(脱衣所で拭いてる間に便が出たら困る)とパンツ一丁のまま速攻でソファへ直行、もし便が出始めたらティッシュで出てくる便を拭きながら便意が収まるまで長期戦できるようにゆったりと。
パンツのゴムの所にビニール袋を口を開けた状態で挟んでおくとティッシュや古いフランジをそのまま下へ落す形で簡単に処分できます。
肌が荒れている場合はこの時にしばらく空気や日光に当てて皮膚呼吸させてやりましょう。
体を拭くときに、荒れている部分は優しく叩くように柔らかいタオルやガーゼで拭くか、風や扇風機で乾かす方が良いです。

フランジ交換
1.キッチリと隙間無くストマにフランジを貼りましょう。
隙間から便が漏れると肌が荒れたりフランジが外れて大漏れすることになります。
穴がぴったりストマに合うようにフランジをカットしておきましょう(カットタイプのフランジ)
穴がすでに開いているタイプはパテや保護シートを使って隙間を埋めましょう。
僕の場合はストマのすぐ回りの肌が荒れて嫌だったのでパテをストマの周りにバリアのように盛っていました。

白いのがパテです(実際のは半透明のゲル)。
普通はフランジの方に盛るのですが、僕は直接肌に盛ってました。
パテは手にくっ付きやすく綺麗に整形するのが難しいので、ほんの少し指をなめて湿らせて整形してやれば上手く盛れます。
ただし、水分がつくと接着力が落ちるのでギリギリ湿らせてさわりましょう。


2.ぴったりとフランジを貼り付けましょう。
フランジの上下左右方向を間違えないようにピッタリとストマと穴を合わせて貼りましょう。
貼った後はフランジを指で上からグリグリ押してぴったりくっ付かせましょう。
密着度を上げるためにゴム製のベルトをつけられるフランジもあります。
また、丸い穴を開けてフランジ・パウチを外に出せるようにした『ハラマキ』を愛用する人もいました。
コツはフランジより少し小さめの穴を開けること、冬場は良いかもしれません。


3.パウチを完全に付けましょう。
パウチのパッキンをしっかり付けましょう。
パウチを付けたら一度空気を入れてパンパンになるよう口を絞ってみましょう、空気が漏れなければ完全にはまって入る事が解ります。
フランジはしっかり付いているのにパウチが外れたら元も子もないですからね、毎回絶対にテストしましょう。
同じくパウチのクリップもしっかりチェック、純正品のクリップを使う方がいいでしょうね。
僕はクリップ(プロケアのが好き)はパウチをまとめ買いした時などに医療売店の店員さんに『クリップおまけしてよー』って貰ってました。
実際にシールをはがして貼っていないので浮いていますが、こんな感じです。
プロケアの凸型のツーピースです、左右にゴムベルトを付けられる穴が開いています。
フランジの外側には肌に密着しやすいバンソウコウが付いていますが正中の傷に掛かったりする場合は切り取っていました。

その他日常生活篇
●消化の悪いものは食べない。
(もやし・ニラ・根菜類・キノコ類・ワカメ類・種系{大量のトウモロコシやピーナツ}は注意)
●にんにくやニラなどのネギ類や豆類等はにおいやすいので気になる時はさけましょう。
●オレンジジュースやマッシュルームを食べると便がにおいにくなります。
●外出時はフランジのセットの予備や交換セットを持って行きましょう。
●着替えなども有る方が気分的に安心です。(車に積んでおくとか)
●ベルトが必要なズボンやスカートは履かず、サスペンダーを使ったりワンピースを用意しましょう。
●就寝時は敷布団に腰シーツやオネショシートなどを敷いておく方が良いです。
●夜中にパウチがパンパンになって漏れる場合は「寝る前に必ず中身を出す」「夜中に一度起きる」
 (僕はめんどいので夜中にガスだけ抜いてました)
●和式トイレは便器の周りにトイレットペーパーを多めに敷いて置けば飛び散っても大丈夫です。
●便器内にトイレットペーパーを放り込んで置けば跳ね返りも安心です。
●洋式の場合は普通に座らずに横向いて浅めに座ると中身を出しやすいです。

普通に座った場合

右側のお腹にストマがある場合
●外出中にパンパンになっちゃったら割とどこででも(側溝とか植え込みとか)立ち野ウンコができます。
●パウチのスソは1回外に折り込んでおくと、汚れを取りやすいです。

トラブル篇
軽いトラブル
●ストマから血が出た
→もともと粘膜なのでちょっとした刺激で血がにじむ事があります。
ティッシュやガーゼでしばらく圧迫すれば血が止まります。
止まらない場合や「パウチが血でいっぱい」なんてことになったら至急病院に連絡をいれて主治医に診てもらいましょう。
●肌があれた
→しばらく空気に当てたりパウダーをふったりするくらいしか有りません。
薬を塗っても上からフランジを貼らねばならず、粘着力が落ちるので塗れません。
酷い場合は主治医にみせましょう。
また、フランジが肌に合っていない場合も考えられます。


あまりないトラブル
●ストマが出てきた
●ストマがへっこんだ
●ストマが紫色になった
●肌がボロボロになった
●便が出てこなくなり詰まった
●水様便が出すぎて脱水になった
→すぐに病院に電話して主治医に診て貰いましょう。
なにか有った時のために、病院や病棟の電話番号は調べて所持しておきましょう。

トラブルの予防
●太り過ぎない・やせ過ぎない→ストマが出たりひっこんだりします、最悪再オペでストマ作り直しです。
●家族や自分が水虫の場合は必ず手洗い→手を完全に洗ってからフランジをさわりましょう、フランジの下が水虫になったら地獄です。
●のどが渇いたら水分補給→飲み過ぎる必要は有りませんが、脱水を起こさないように注意しましょう。友人は超酷い脱水で死にかけ左右の腕からダブルで点滴しました。

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