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潰瘍性大腸炎 大腸全摘手術Q&A

1どれくらい悪いとオペを受けないとダメですか?2どこで手術ができますか?
3オペは痛いですか?4オペ後の傷跡は?
5手術すれば何でも食べれますか?6手術すればもう病気とおさらばできますか?
7術後薬は飲まなくて良いですか?8オペ後のトイレ回数は?
9オペ後漏れますか?10オペの入院期間はどのくらいですか?
11複数回手術だと人工肛門は大変ですか?12入院するのに何か持って行く物はありますか?
13遠いので家族の付添いが難しいんですが…14オペの費用はどのくらいですか?
15先生への付け届け(お礼)は必要ですか?16退院後どれくらいで社会復帰できますか?
17手術後の妊娠出産は可能ですか?18退院後の病院を変える事はできますか?
19最新の手術を教えてください。20術後も特定疾患を継続できますか?

Q1 どれくらい悪いとオペを受けないとダメですか?

A 癌や大出血など命に関わる場合、骨粗鬆症など元に戻らない副作用が出た場合、社会生活が送れなくなった場合はオペになります。

選択的に待機手術をする基準は、一般的には「ステロイド10000mgで手術適応」と言われてますが、あくまでデータ的な目安でしかなく、3-4万使ってる人もいれば1万以下で手術適応になる人も居ます。→手術適応(外科手術)
ちなみにアメリカでは手術適応の公的な基準はなく、「全大腸の緩解再燃型になったら一年半以内に手術」というのがセオリーになっているそうです。

Q2 どこで手術ができますか?

A お薦めは兵庫医大・三重大病院・横浜市大-横浜市民病院・広島大病院です。

次点は東北大学と九州の久留米大です。命に関わる緊急手術の場合は地域でも大きな病院でならどこでも可能と思われますが、やっつけ仕事になるので絶対お薦めできません。大学病院クラスでも執刀数が非常に少ない所もあって、結果として術後のQOLが低かったりトラブルが多かったりする場合があります。

命に関わる場合は仕方がありませんが、できることなら緊急手術になる前に、体調が良い状態で有名病院で手術する事をお薦めします。

Q3 オペは痛いですか?

A 痛いです。

といっても、麻酔で痛みのコントロールをしてくれるので、麻酔が良く効く人ならそれほど痛くありません(寝ているぶんには。動くと鈍く痛いです)。
小学2年生の男の子でも受けていたオペなので十分耐えられるはずですし、女性などは「出産の方が痛かった」と言う人もいます。だいたい術後3日程で自分で歩いてトイレに行けるようになります。

しかし、麻酔が効きにくい体質の人は(酒のみに多いらしい)3-4日痛いです(僕の知っている一番痛がりの人はオペの夜5分置きにナースコールを押していました)。

Q4 オペ後の傷跡は?

A ずばり病院によって違います。

昔は正中を15-20センチと大きく切っていましたが、慣れている病院ではどんどん小さくなってきています。また、傷跡のケロイドは形成外科で取ってもらう事も可能です(料金別)

ちなみに兵庫医大の場合、2004年現在でヘソ下から切っているので水着になっても大丈夫なくらいになっています。大腸が癒着していたり、お腹の上の方にある場合はもっと上まで切ります。女性の場合は縦ではなく目立ちにくい横に切る事もできます。
慣れていない病院では当然大きく切ります。腹腔鏡手術ならお腹に数センチの傷がいくつかできるだけで済みますが僕自身はあまりお薦めしません。

あと、外科医がヘタだったりステロイドが多くて傷がくっ付きにくい場合は傷口がブサイクになったりします。お腹にドレイン管を入れる場合に1-2cmくらいの傷跡が残ります。ストマを作る場合はストマ跡が丸くできます。

Q5 手術すれば何でも食べれますか?

A 術式と個人差も有りますが、だいたい何でも食べれます。

直腸を残す手術の場合は食事制限する方が良いででしょう(以前よりは多少改善しますが…)。人によっては乳製品・油っ濃いもの・辛いもの・アルコール類などで下痢を起こしやすい人もいます。また、炭酸飲料もお腹にガスが溜まるので制限してる人もいます。
だいたいの人は物理的にイレウス(腸閉塞)を起こしやすい「モヤシ」「ワカメ」などを避けたり、量を食べ過ぎないようにする程度のようです。

Q6 手術すればもう病気とおさらばできますか?

A 病気自体とは縁が切れませんが、運次第で病院と縁が切れる人は居ます。

基本的にUCは治らない病気ですし、腸管外合併症や術後合併症が出る可能性は残ります。ただし、術式にもよるのですが、病院に通院しなくて済むようになる人も多く、術後に再入院する人は稀です。調子が良くても長い人生何が起こるか解らないので特定疾患はなるべく繋いでおきましょう。年1回結石の検査をするのもお薦めです(粘膜や直腸を残している人は癌検査)。

Q7 術後薬は飲まなくて良いですか?

A ステロイドはほとんどの人が切れますが、色々飲んでる人も多いです。

直腸や直腸粘膜を残しているとサラゾピリンやペンタサを飲まないといけない場合があります(緩解維持や癌予防のためにも飲みましょう)。ステロイドは術後しばらく副腎の機能が回復するまで飲まないといけません。また、ひどい回腸嚢炎を起こした場合にもステロイドを飲んだりします。だいたいの人は整腸剤や下痢止めを飲んでいることが多いです(長年経てば要らなくなる人が多いです)。骨粗鬆症の人はカルシウムを飲む必要があります。

Q8 オペ後のトイレ回数は?

A 術式や個人差がありますが平均は一日7〜9回くらいです。

オペ直後は回数が多く10−20回トイレに行くことになりますが体が慣れてくるにつれて回数は減ってきます。全てのオペが終わって半年くらいで落ち着き、平均6-8回くらいになります。腹痛などは無く、行きたくなっても30分やそこらは我慢できます。手術前のような「トイレに行きたい!!」という欲求感覚はなくなり、「そろそろトイレ行っておこうかな」という知識に変わってきます。おしっこの感覚と似ています(今じゃなくても良いけどちょっと行ってこようかな、みたいな)1日1回という非常に大成功な人も稀に居ますが、1日10回以下なら問題ないと思います。

ちなみに僕は1日にトイレに7-8回程行きますが苦ではありません。
僕の一日のトイレパターン:朝起きて・仕事行く前に・お昼ご飯食べて・夕方に1回・帰ってきてから・晩ご飯食べて・寝る前に、の計7回を決まった時間に行きます。生活サイクルが変わるとそれに合わせて多少変わります。

Q9 オペ後漏れますか?

A 個人差がありますが漏れます。

最も漏れやすいのは夜寝ている間です。術後間も無い頃や、人によっては昼間でも漏れます。4割の人はほとんど漏れませんが、毎日漏れる人も2割くらい居ます。IACAは漏れ難くくIAAは漏れやすいと言われますが、むしろ個人差の方が大きいようです。IACAでも漏れる人は漏れ、IAAでも漏れない人は漏れませんし、長期的にはどちらも大差無いようです。
漏れる人は漏れ対策をすれば改善したりします。→漏れ対策(術後の注意)

Q10 オペの入院期間はどのくらいですか?

A 病院によりますが術前2週間・術後3週間くらいです。

病院や主治医の方針にもよりますが、特に問題が起こらなければ1ヶ月前後で退院です。
術前は手術室の空きスケジュール待ちや各種検査でしばらくかかります。検査内容:出血凝固(出血がどれ位で止まるか)・腹部エコー・大腸の造影・大腸カメラ・レントゲン・各種血液検査・肺機能テスト・尿検査・フランジ(人工肛門の装具)のパッチテスト(肌に合うか)・麻酔の問診など。大腸のカメラや造影は状態によっては内科からのカルテで行ったりして検査をしない場合も有ります。緊急を要する重症の場合は術前の期間が早くなったりします。

術後は術式にもよりますが常食まで行ったら退院です。(または1期目は自分でストーマ=人工肛門のケアが出来る様になるまで)

Q11 複数回手術だと人工肛門は大変ですか?

A 何かと大変です。

悲観して自殺したりノイローゼになる程ではありませが、まぁ何かと面倒な事が多く悩ましいです。慣れてくると「まぁこのままでも良いかなぁ」と思う人も居ます(実際にそのまま人工肛門のままの人も何人か居たりします)。しかし、できることなら一期手術で終わる方が楽です。ただし一期だからといって不完全な手術はお薦めできません。といってもまぁ命に関わる緊急手術の場合は仕方がありませんが…。

Q12 入院するのに何か持って行く物はありますか?

A お金・使い捨てカメラ・暇つぶしグッズ

現金があれば大抵のものは売店でそろいます。カメラは手術後に家族に切った大腸を記念撮影してもらったり、退院前にナースや主治医と記念撮影も。暇つぶしはゲームボーイやノートパソコンなどで、将棋や折り紙という渋い人も居ます。

その他:洗面器・石鹸・シャンプー・バスタオル・フェイスタオル・パジャマ・下着・靴下・スリッパ(つま先が開いている物。臭くなるので。)・小さい時計・湯のみ・はし・ひげそり・歯磨きセット・カーディガンやジャンパー・筆記用具・ハンコ(無くてもいいけど承諾書とかで必要な時も)・小さい魔法瓶(お湯を入れておいて夜中にこっそりカップ麺やUFOを…)

Q13 遠いので家族の付き添いが難しいんですが…。

A 誰か居て欲しいのは手術直後の4-5日です。

術前が元気でトラブルが無ければ、という条件がつきますけどね。病院自体は完全看護なので、家族のする事と言っても下着の洗濯とベットから落ちたティッシュの箱を拾って貰うくらいです。外科は回復が早いのでトラブルさえ無ければ切って4-5日で自分で何でもできるようになります。近所の宿屋をしばらく取るか、術後数日だけ個室にしてもらってそこに一緒に泊まる事も病院によっては可能ですから、看護婦や病室の人に聞いて見ると良いでしょう。
介護と称してプチ観光する家族も居ます^^;

Q14 オペの費用はどのくらいですか?

A 特定疾患の費用で済みます。

だいたいの人が3-4万くらいでしょうか?(個室に入れば差額ベット代が必要です)。
保険なしだと術前2週間術後3週間の入院費用が100〜130万、うち手術代は38万くらいかかります(兵庫医大一期オペ)。

Q15 先生への付け届け(お礼)は必要ですか?

A 必要ありません。

ただ、先生によっては受け取る人も居るようです。しかし、付け届けをしたからと言って絶対手術がうまく行くかというとそれは別問題ですし、付け届けがないから手を抜かれると言う事もありません。まぁどうしても渡さないと気が済まない人や、気になってしょうがない人は同じ病室の人などに聞かれると良いと思います(間違っても先生に「お幾らですか?」とか直接聞かないように)。わがまま放題で色々問題を起こすやっかいな患者さんは看護婦さんに甘い物の差し入れくらいしても良いんじゃないかとは思いますが…。

Q16 退院後どれくらいで社会復帰できますか?

A 仕事を持っている人で、早い人は一週間位で出社して働けます。

だいたいの人は2週間くらい仕事を休むことが多いようです。学生は1週間ほど、ただし出席日数がない場合は退院2-3日で行けます。分割手術の場合は全てのオペが終わるまで(半年から1年)休職する人が多いようです(その場合は休職保健や社会保険料の負担についてよく会社と話をしましょう)。無職、求職中の人はオペ後3ヵ月から半年もすれば体の事が解ってくるので、それ以降職を探せば無難でしょう。

Q17 手術後の妊娠出産は可能ですか?

A 可能です。

薬の副作用を心配せずに妊娠できます。ただし、手術の合併症で子宮や卵巣といった臓器が癒着したりする場合もあるので産婦人科と外科の連携が重要です。
→妊娠出産(術後の注意)

Q18 退院後の通院が遠いんですが病院を変える事はできますか?

A よほど大事が起こらない限り地元の病院で構いません。

手術が済んでしまえば大きなトラブル(重度の回腸嚢炎や再手術など)が無い限り地元の病院で大丈夫です。重度の脱水・腸閉塞・結石の検査・軽い回腸嚢炎などは地元の大きな病院(日赤とか)で診てもらい、風邪や軽い脱水や整腸剤・下痢止・カルシウム剤等を貰ったりするのは近所の町医者、と使い分けましょう。執刀医には退院前に予め紹介状を書いて貰っておくと良いです。町医者は自分の説明程度で構いません。

特定疾患は地元の病院で継続しておけば、外科執刀病院の継続が切れていても問題ありません。万が一再入院になったとしても手続きすればOKです。遠くの医大まで通って特定疾患の手続きをするのは非常に面倒ですからね^^;

追加:2004年度の特定疾患需給は審査が厳しくなるという情報が入っています。なるべく執刀病院で記入ヶ所を埋め尽した書類を作ってもらう方が良いと思われます。

Q19 最新の手術を教えてください。

A ここ5年大して変わっていませんし、今後4-50年は変わらないと思います。

手術技術の進歩は一旦完成を見てしまって頭打ちの状況で、ここ5年程は特筆すべき進歩はありません(兵庫医大(三重医大)での一期IAAが最も完成した手術です)。現在は手術技術の進歩よりも執刀医の熟練度(より小さい切り口や短い手術時間)を上げたり技術伝播をしている状況です。
確かに腹腔鏡手術という新しい手術もあるのですが、新しいというだけで最良の手術方法というわけではありません。(実際、角度的に粘膜が取りきれずにかなり残ります。)

例えばこういう感じです。
横浜IACA→win98SE 兵庫IAA→win2000 腹腔鏡→winME
横浜IACA→3年前のセルシオ 兵庫IAA→3年前のベンツ 腹腔鏡→最新型ヒュンダイ
横浜IACA→読売巨人 兵庫IAA→阪神タイガース 腹腔鏡→北海道日ハム
横浜IACA→TOKIO 兵庫IAA→SMAP 腹腔鏡→NEWS

新しいということは「まだ慣れていない」「どういう不具合があるか解らない」「不具合があった時にどうしていいか解らない」という事です。せめて5年や10年は様子を見て、それだけの実績が無いとお薦めできません。これは腹腔鏡だけに限ったものではなく、今までやってなかったのに大腸全摘を始めた医大とか、治検が終わって間も無い新薬や治療法などにも言える事です。

Q20 術後も特定疾患を継続できますか?

A 都道府県によって審査の基準が若干違いますが継続可能です。

だいたいの人は継続してもらえています。しかし、都道府県によって審査基準がまちまちで、東京・北海道・宮崎などで「貰えなかった」という報告もあります。
ただ、まったく裏の取れていない情報ですが『2004年度は審査基準が非常に辛くなる』という話が出ています。

過去の受給者見直しや軽快者の導入時にもやはりそういった情報が流れていたので、今回の噂がまったくのデタラメの可能性は低いと思われます。主治医に申請書類を書いてもらう時には事情を話して、なるべく記入ヶ所を埋め尽くして貰える様にお願いしておく方が無難でしょう。

なお、回腸嚢炎などで再入院した場合などは、特定疾患が切れていても再度申請しなおせば新たに受給者証が貰える場合もあります。

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